株式

1.財産分与の対象となる株式

婚姻中に夫婦いずれかが購入した株式・有価証券は、購入原資が夫婦いずれかの特有財産であったような場合でない限り、財産分与の対象となります。

 

2.株式に特有の問題

(1)株式評価額の算出方法

金融商品取引所に上場されている上場株式は、市場で取引がなされているため、評価額の算定は簡単です。この場合は、市場価格(金融商品取引所が公表する各取引日の終値)が、株式の評価額となります。

一方、非上場株式はその評価が非常に困難です。非上場株式の評価については、専門的な知識が求められるため、評価額に争いがある場合は、税理士・公認会計士等の専門家に評価を依頼することをお勧めします。なお、離婚訴訟において、株式の評価について、当事者間で合意ができない場合には、最終的には、裁判所選任の鑑定人による鑑定評価をもとに判断されることになります。

 

(2)株式の基準時

①株式数の基準時

財産分与が婚姻中に夫婦の協力関係によって得られた財産を清算する制度であり、別居後は原則として夫婦の協力関係が無くなることから、株式数については、別居時を基準にします。

例えば、別居時に夫がA社株式を100株持っていたとして、別居後に株取引をして、100株から増減したとしても、別居時の100株が財産分与の対象となる株式数となります。

 

②株式評価額の基準時

株式数は別居時を基準とするとして、株式、特に上場株式の場合は、その市場価格(株価)が日々変動しますので、評価額の基準時が問題となります。

この点、株式評価額の基準時は、離婚時(口頭弁論終結時。審理終結時)とされています。なお、別居後判決までに株式を売却した場合、基準時は売却時とされています。

以上のとおり、株式の評価については、株式数は別居時、株式評価額は離婚時と、評価の基準時が分かれることになります。例えば、別居時100株、1株あたり1万円、離婚時200株、1株あたり2万円であった場合、別居時100株×離婚時2万円=200万円が株式の評価額となります。

 

(3)夫(または妻)が経営する会社の株式は財産分与の対象となるか

夫(または妻)が経営している株式会社の株式も、株式の取得時期や取得経緯に 鑑みて夫婦で協力して築いた財産といえる場合(婚姻中の蓄えを出資して株式会社を設立した場合や増資した場合など)、財産分与の対象となります。

もっとも、このような場合、通常は非上場株式でしょうから、その評価額が問題となります。

 

(4)株式の分与方法

株式の分与方法としては、まずは株式現物を分与する方法があります。例えば、100株を50株ずつ分与する場合です。

次に、株式を売却して売却価格を2分の1ずつ分与する方法があります。特に、上場株式については、この方法が一般的といえます。

また、株式評価額を決定(合意)し、分与割合に従った代償金を分与するという方法もあります。例えば、夫が所持する株式が、株式数100株×1株あたり2万円=200万円と評価される場合、夫が100株すべて取得する代わりに、妻に対し100万円を支払う場合です。夫の家族経営の株式会社の株式などの場合、よほどのことがない限り、離婚した妻を株主として置いておくことはできません。このような場合には代償金を分与する方法をとることになります。

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