生命保険

1.財産分与の対象となる生命保険

(1)貯蓄型生命保険

結婚してお子さんが生まれた場合や、老後資金のために、貯蓄型の生命保険に加入することも多いかと思います。貯蓄型生命保険は、預貯金のように資産価値があり、端的にいえば、婚姻後別居時までの保険料払込期間に相当する解約返戻金相当額が、財産分与の対象になります。

一方、夫が婚姻前から加入し保険料を支払っていた期間や、別居後に保険料の支払いを継続した期間に相当する解約返戻金は、夫婦の協力によって得られた財産とは評価できないため財産分与の対象にはなりません。

 

(2)掛け捨て型生命保険

掛け捨て型生命保険の場合は、財産分与の対象となる解約返戻金が発生しませんので対象とはなりません。貯蓄型は保険料が高く、掛け捨て型は保険料が安いのが一般ですが、最近では貯蓄型と掛け捨て型が混合した生命保険もありますので、保険料の多寡だけでは一概に判断できません。保険証券をみて、貯蓄型か、掛け捨て型か、区別できる場合はよいですが、分かりにくい場合には、念のため保険会社に問い合わせをして、解約返戻金の調査、証明書を取得することをお勧めします。

 

2.生命保険でよくある問題

(1)夫(または妻)がどのような保険に加入しているかわからない

生命保険の加入について、夫(または妻)任せにしているという方は多く、相手方がどのような保険に入っているかわからないという方は結構いらっしゃいます。この点、生命保険保険料は預金口座引落の場合が多いと言えます。そこで、夫(または妻)がどのような保険に加入しているかわからない場合には、預金通帳の取引履歴を確認することで、加入している生命保険会社や保険料の金額を知ることができる場合があります。もっとも、最近はクレジットカード決済を導入している保険会社も多く、この場合はクレジットカードの利用明細を確認しなければならないことになります。

なお、費用はかかりますが、弁護士会照会を利用して調査をすることも考えられますが、この場合も、少なくとも加入生命保険会社の名称程度の情報は必要です。

 

(2)生命保険を解約せずに財産分与したい

生命保険を財産分与する場合、生命保険を解約して受け取った解約返戻金を財産分与の対象とするのが最も簡便な方法です。しかし、生命保険を満期前に解約した場合、契約によっては元本割れしてしまったり、同程度の補償の生命保険に加入し直すには保険料が上がってしまったりする場合があります。このような不利益を回避するため、保険を解約せずに財産分与する場合があります。その方法として、契約者から他の当事者に対して、婚姻後別居時までの解約返戻金相当額の2分の1の代償金を支払うか、同価値の他の財産を取得させるという方法が一般に用いられます。なお、夫婦の生命保険は、お互いに相手方を保険金受取人にしている場合が大半ですので、保険金受取人の名義変更も忘れずに行う必要があります。

 

(3)学資保険の財産分与

学資保険は生命保険の一種ですので、解約返戻金相当額が財産分与の対象となりますが、話し合いによって、解約せずに子どもの親権者となる親が保険契約を引き取る場合が多くあります。例えば、夫が契約者名義の学資保険を、離婚後に親権者となった妻が引き取る場合です。このように、婚姻時の保険契約者(通常は満期保険金受取人。上記の夫)と離婚後の親権者(上記の妻)が異なる結果となる場合には、注意をしておく必要があります。

この場合に、保険契約者を夫から妻に変更しておかないと、満期保険金は契約者である夫に支払われますので、親権者である妻は、離婚した夫から支払われた満期保険金を受け取る必要があり煩雑です。離婚した夫が任意に引き渡してくれればまだよいですが、理由をつけて満期保険金の引渡しを拒否しようものなら、裁判を起こさなければならない場合もあります。さらに、離婚した夫が満期保険金を費消してしまった場合など最悪の場合には子どものための学資保険金を受け取れないといった事態もあり得ます。

学資保険の場合は、煩雑でも離婚時に契約者変更手続きを取り、契約者(保険金受取人)と親権者を一致させておくべきです。

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