裁判離婚で悩んでいる、裁判離婚に移行しそうな皆様へ
裁判離婚は、話し合いでの解決が難しい場合に最終手段として選択される手続きです。裁判離婚は、離婚協議や離婚調停とは異なり、法律や裁判所の手続きに関する詳しい知識が必要となるため、多くの人が不安を抱えています。この記事では、裁判離婚を弁護士に依頼するメリットなどを詳しく解説します。この記事を読むことで、裁判離婚の大まかな流れを理解し、弁護士に依頼すべきかどうかが分かります。
裁判離婚とは
裁判離婚の定義
裁判離婚とは、夫婦間の話し合いや家庭裁判所での調停によっても離婚が成立しないときに、最終的に家庭裁判所に訴訟を提起して離婚を求める手続きです。裁判所が離婚を認める判決を下すことで、離婚が成立します。他の離婚形態と異なり、当事者双方の合意は不要です。
離婚を認める判決が下される場合は、親権者の指定や、当事者が求めた養育費の金額、財産分与の方法、慰謝料の金額、年金分割についても裁判所が判断を下すことになります。
裁判離婚の流れ
◯ 訴訟の提起
↓ 夫婦の一方ないし双方が家庭裁判所に離婚を求める訴訟を提起します。
◯ 答弁書の提出
↓ 第一回期日までに訴訟を提起された側が訴状の内容に対して反論を行います。
◯ 準備書面や財産目録の提出
↓ 当事者双方から追加補充の主張立証を行います。なお、特に複雑ではない案件であってもこの段階に至るまでで3か月から6か月程度の期間を要します。
◯ 本人尋問、証人尋問の実施
↓ 当事者双方や必要な証人を法廷に呼んで尋問を行います。
◯ 和解の試み
↓ 尋問が終わった後(若しくは尋問の実施前)に裁判所から和解が勧められることがあります。和解が成立し離婚が成立する場合は、裁判離婚ではなく、和解離婚となります。
◯ 最終準備書面の提出
↓ 尋問の結果を反映させた最終準備書面を提出することがあります。
◯ 判決
判決に至るまでには概ね1年程度の期間を要することが多いです。
裁判離婚を弁護士に依頼するメリット
裁判離婚は、精神的にも肉体的にも大きな負担がかかる手続きです。弁護士に依頼することで、様々なメリットを得ることができます。大きく分けて、有利な条件での離婚成立の可能性向上、精神的な負担の軽減、手続きのスムーズな進行という3つのメリットがあります。
有利な条件で離婚できる可能性が高まる
裁判離婚では、法律の専門知識に基づいた戦略が不可欠です。弁護士は、依頼者の状況を詳細に把握し、法的に有効な証拠を収集・整理し、主張を構築することで、依頼者に有利な条件での離婚成立の可能性を高めます。
ア 慰謝料請求
離婚原因が相手方にある場合、慰謝料を請求できます。弁護士は、適切な慰謝料の金額を算定し、裁判で効果的に主張します。過去の判例や相場を踏まえた上で、依頼者の状況に合わせた金額を提示し、最大限の慰謝料獲得を目指します。
慰謝料請求に関する記事はこちら
イ 財産分与
婚姻中に夫婦で築いた財産は、原則として2分の1ずつに分けられます。弁護士は、預貯金、不動産、株式などあらゆる財産を対象に適正な財産分与を実現するために尽力します。
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ウ 親権
未成年の子どもがいる場合、親権者を決めなければなりません。弁護士は、依頼者の要望に沿う結果となるように、必要な証拠を収集し、戦略的に訴訟を進めます。
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エ 養育費
弁護士は、子供の年齢、両親の収入などを考慮して適切な養育費の金額を算定し、確実に受け取れるようサポートします。
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精神的な負担を軽減できる
裁判離婚は、精神的に大きな負担がかかる手続きです。弁護士に依頼することで、裁判所や相手方との直接的なやり取りを弁護士に任せられるため、精神的な負担を軽減できます。また、専門家から法的アドバイスを受けることで、不安やストレスを軽減し、冷静な判断ができます。
手続きがスムーズに進む
弁護士は、必要書類の作成、裁判所への提出、期日への対応など、煩雑な手続きを代行してくれるため、時間と労力を節約できます。
よくある質問
弁護士に依頼せずに裁判離婚は可能か
可能です。弁護士に依頼せずに、自分自身で裁判離婚の手続きを行うことができます。これを本人訴訟といいます。しかし、裁判離婚の手続きは複雑で、法律の専門知識も必要となるため、弁護士に依頼する方が一般的です。本人訴訟の場合、自分自身で書類を作成したり、裁判所とのやり取りをしたりする必要があります。時間と労力がかかるだけでなく、不利な結果になってしまう可能性も高くなります。特に、相手方が弁護士を付けている場合は、弁護士に依頼することを強くおすすめします。
裁判離婚にかかる期間はどのくらいか
裁判離婚にかかる期間は、事案の複雑さや裁判所の混雑状況などによって大きく異なります。複雑な事案や争点が多い場合は、1年以上かかることもあります。平均的には6か月から1年程度と言われています。
裁判離婚で有利になる証拠とは
裁判離婚では、証拠が非常に重要になります。有利になる証拠には、以下のようなものがあります。また、証拠はできるだけ早く収集することが重要です。時間が経つと、証拠が失われてしまう可能性があります。
ア 不貞行為の証拠
探偵作成の報告書、メール、LINEのやり取り、写真、動画など
不貞行為に関する記事はこちら
イ DV(家庭内暴力)の証拠
診断書、写真、動画、音声録音など
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ウ モラルハラスメント(モラハラ)の証拠
日記、メール、LINEのやり取り、音声録音など
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エ 財産の証拠
預金通帳、不動産登記簿謄本、不動産の査定書など
まとめ
この記事では、裁判離婚の内容、裁判離婚を弁護士に依頼するメリットについて解説しました。裁判離婚は、夫婦間の話し合いでは解決できない場合に、家庭裁判所に離婚の判決を求める手続きです。弁護士に依頼するメリットは、有利な条件で離婚できる可能性が高まること、精神的な負担を軽減できること、手続きがスムーズに進むことなどです。