離婚調停を申し立てたい方へ

1 離婚調停を申し立てた方が良いケース

まず、離婚にあたっては、夫婦間で話し合い(協議)を行うことがなによりも重要です。その話し合いの結果、離婚の条件が整うのであれば、最も時間や費用をかけないスムーズな解決となります。

しかし、離婚にあたっては、お互いの感情がぶつかり合うことも多く、それだけに当事者であるご夫婦だけの話し合いでは解決しない場合も多いといえます。このように、夫婦間での協議がまとまらない場合、家庭裁判所に離婚調停を申し立て、家庭裁判所の調停委員を介して話し合いを行うという方法があります。

家庭裁判所の離婚調停では、実際に話し合いを行う調停期日が設定される割合は、概ね1か月から1か月半に1回程度ですので、協議がまとまるとしても、どうしても時間がかかってしまいがちというデメリットはあります。しかしながら、公平な第三者である裁判所が間に入ることによって協議がスムーズに進むなどのメリットもあります。一般的にいって、以下のようなケースでは、離婚協議よりも離婚調停に移行したほうが良いといえます。

 

そもそも離婚を切り出すことが難しい

相手からDVやモラハラの被害を受けている場合など、そもそも離婚を切り出すことが難しい場合が考えられます。

この場合、両親等の第三者に話し合いに同席してもらうのも一つの方法ですが、必ずしも第三者の協力が得られるとは限りません。このような場合には、無理に自分で相手に離婚を切り出すようなことはせず、離婚調停を申し立てるのも一つの方法です。

なお、離婚を切り出すことにより身の危険が生じる恐れがある場合には、調停を提起する前に別居することも検討すべきです。また弁護士へ依頼して調停を進めることも一つの選択肢として検討しておくべきかもしれません。

 

相手が感情的になり、話し合いにならない

相手にDV・モラハラの傾向がある場合、なんとか離婚は切り出したものの、相手が感情的になり話し合いにならないという場合があります。この場合、離婚調停を申し立てることは有用といえます。特にモラハラ夫は体面を気にする傾向が強いため、第三者である調停委員が話し合いに入ることによって、調停委員への体面を気にして感情的になることが比較的少なくなり、離婚に向けた話し合いがスムーズに行われる可能性が高くなるといえます。

また、調停を申し立てることにより相手に弁護士が就いた場合には、相手の弁護士が一種のストッパーの役割を担ってくれる場合があります。但し、相手に弁護士が就いた場合には、こちらとの知識経験の差は明白です。こちらにとって不利な交渉結果とならないよう、こちらも弁護士に依頼することを検討してください。

 

相手が離婚の話し合いに応じてくれない

DVやモラハラの傾向がなくても、相手が離婚を拒否する場合、こちらが離婚を切り出しても、相手が話し合い自体を拒否したり、話し合いをうやむやにしたりするといった態度をとって、協議が進まないことが多くあります。

 このような時、離婚調停を申し立てれば、夫婦双方が調停期日に家庭裁判所に出頭する必要があり(相手方に出頭義務はありませんが、裁判所からの呼び出しを全く無視するという人は稀です)、しかも、公平な第三者である調停委員が当事者双方の話し合いの間に入ってくれますので、夫婦だけで話し合いをするよりも、協議がスムーズに進む可能性があります。

 ただ、上記のとおり、当事者に調停への出頭義務はありませんので、相手が出頭しない場合には話し合いが進まないということになります。この場合、調停は不成立となり、離婚訴訟を提起することになりますが、離婚訴訟にあたって、相手が調停へ出頭せず調停が不成立となったという事情は、こちらに有利に作用し、離婚を認める判決につながりやすくなるといえます。

 

相手が財産を開示しない

離婚にあたっては、お金の問題も重要です。財産分与をきちんと受けるには、とにもかくにも相手名義の財産を把握することが必須です。しかし、離婚を切り出してからの協議では、相手が財産開示に応じてくれない場合がほとんどです。

この場合、調停手続を提起して、調停委員から財産開示を要請してもらうことにより、相手が任意に財産を開示する可能性があります。また、調停手続においては、「調査嘱託」という、裁判所を介して金融機関などの第三者に直接情報を開示させる制度を取ることも制度上可能です。但し、この制度を的確に使うには、どうしても離婚調停等における知識経験・ノウハウが必要となりますので、弁護士への依頼を検討されるべきです。

 

婚姻費用が支払われていない・不足している

夫婦が別居している場合、収入の高い側から収入の低い側へ生活費を支払う義務があります。この生活費のことを「婚姻費用」といいます。

相手が、任意に婚姻費用を支払わない場合や支払われているが不足している場合、適正な婚姻費用を支払うよう、家庭裁判所へ調停を申し立てることができ(これを婚姻費用分担調停といいます)、調停でも相手が任意に婚姻費用の支払いに応じない場合は、裁判所が一定の婚姻費用の支払いを命じる審判を出してくれます。

 但し、婚姻費用の審判で命じられる婚姻費用は、一般に、婚姻費用分担調停の申立て以降の分のみとされます。したがって、別居をしたが、相手より婚姻費用を受け取っていないという方は、早急に離婚調停とあわせて婚姻費用分担調停を申し立てるべきです。

 

親権や面会交流に争いがある

ご夫婦にお子さんがいる場合、離婚後の親権者や離れて暮らすことになる親とお子さんとの面会交流に関する事項を決めなければなりません。お子さんの親権や面会交流について、争いが生じた場合、夫婦どちらも譲れないポイントとなってしまい、協議が平行線となってしまうことが多くあります。

親権や面会交流が争点となり離婚調停を提起した場合、心理学や教育学等の専門的知識をもつ家庭裁判所調査官が、それぞれの親やお子さんの意見を聞いたり、家庭訪問を行ったりといった調査が行い、意見を述べてくれることが一般です。

そして、調査官という第三者かつ専門家の意見を踏まえて話し合いを進めることにより、親権や面会交流をめぐる議論が収束することが期待できます。そのため、親権や面会交流に争いがあり、離婚の協議が前に進まないという方は、離婚調停の申立てを行うべきです。

 

2 離婚調停を弁護士に依頼するメリット

確かに、調停は、家庭裁判所で行うとはいえ、あくまで話し合いですので、ご自身一人でも対応すること自体は可能です。

しかし、ただ「対応」することと、自身が不利にならず適正に話し合いを進めることができるかは、大きく異なります。

調停は調停委員が間に入って話し合いを進めてくれるとはいっても、こちらの味方をしてくれるわけではありません。交渉力(押しと言ってもよいかもしれません)の強い方に優位に話し合いが進んでしまうケースが往々にしてあります。特に相手だけに弁護士が就いている場合にはその流れは顕著となり、一方的に不利益な条件を飲まされてしまったケースも多く見てきました。

ご自身一人では調停委員を相手に調停を進めるのに不安を感じている方、相手方に弁護士が就いている方などは、弁護士に依頼したほうがよいといえます。

離婚後も長い人生が待っています。あの時の対応で良かったのか、それとも間違えていたのかなどの後悔をしない解決をしてほしいと思います。

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