離婚は人生においてとても大きな決断です。その離婚を切り出すのは、とても勇気が必要です。
「離婚をしたら生活はどうなるだろう」
「もう今の生活には戻れない」
「離婚なんて口にしたら相手が怒って手が付けられないのではないか」
など、離婚を切り出すにあたって様々なストレスを感じられているのではないでしょうか。このページでは離婚を切り出す際のポイントとなる点などを解説します。
なお、当事務所の相談でもよく聞かれますが、自分から離婚を切り出すと、後で裁判になった場合に、裁判所の心証が悪くなり、不利になるのではないかと懸念されている方が多くいらっしゃいます。しかし、裁判所では、離婚に至った原因がなににあったのかという点が重視されますので、どちらが離婚を切り出したかで、離婚の裁判や交渉が不利になるという事態はあまり想定しなくてよいと思われますのでご安心ください。
離婚を切り出す際のポイント
自分の意思をしっかりと伝える
夫婦の関係も様々であれば、離婚に至る原因も様々です。こう言えば、必ず離婚に応じてもらうことができるといった魔法の言葉は残念ながら存在しません。
絶対に必要なことは、離婚したいという自分の気持ち・意思、そして本気度をきちんと相手に伝えることです。そして、なぜ離婚を決意することになったのかといった離婚を決意した理由(原因・経緯)をしっかりと伝えることが肝要です。そのためには、事前に相手に伝えたいことをメモに書き出して「見える化」して整理しておくべきです。
感情的にならない
人の感情は、太鼓やドラと一緒で、強く打てば強く返ってくるのが通常です。ですので、相手に非がある場合でも、あまり感情的にはならず、離婚の意思をしっかりと伝え、離婚の条件について、冷静に話し合いをすべきです。
一方、相手が感情的になる場合も考えられますが、この場合こそ、こちらは感情的にならず冷静に話を進めなければなりません。こちらが付き合って感情的になってしまった場合、「こんなに感情的では話し合いにならない」などと言って、離婚の話し合い自体をうやむやにされてしまうことも考えられますので、注意が必要です。
また、相手が必要以上に感情的になる場合には、不貞している等、触れられたくないことを隠している可能性もあり得ます。この場合は、直ちに離婚の話し合いを進めるのではなく、不貞の証拠収集の必要性なども検討すべきです。
注意したいケース
お子さんがいる場合
お子さんがいる場合には、くれぐれもお子さんの前で話し合いをすることは避けましょう。お子さんが小さなうちは、お子さんが寝静まった後でもよいかと思いますが、ある程度大きくなった場合には、お子さんが出かけているときやお子さんをご両親に預かってもらうなど、お子さんが家にいない状況を作った方が無難でしょう。特に、受験期や思春期の場合は注意が必要です。
身の危険がある場合
DVが離婚の原因などで、離婚を切り出すことで身の危険が想定される場合には、二人きりの状況で離婚を切り出すのは避けるべきです。この場合は、なるべくご両親やご友人など第三者に立ち会っていただくなど、身の危険を回避できる方法を取るべきです。第三者に立ち会ってもらう場合には、夫婦双方のご両親や夫婦双方のご友人など、できる限り夫婦双方が信頼できる第三者にお願いをすべきです。相手が信頼している第三者でなければ、せっかく話し合いの機会を設けても、相手に耳を傾けてもらえない可能性が高くなります。
立ち会ってくれる第三者を見つけることができず、身の危険が切迫すると感じられる場合には、別居を先行し、別居時に置き手紙などで離婚の意思を伝えるという手段も検討すべきです。身の安全の確保が第一です。
モラハラ夫の場合
「夫は頭が良く、弁が立つので、言い負かされてしまわないか心配です。」
モラハラを理由に離婚を決意された方からよく聞かれる心配事です。常日頃から「頭が悪い」「何もできない」「俺の言うことを聞いておけばいい」など、モラハラの被害を受けてきた方は、離婚の話し合いでも相手の言いなりになってしまい、相手のペースで話を進められ、財産分与などについて不利な離婚の条件を飲まされてしまうケースも見られます。
ご自身では、きちんと相手に気持ちを伝えられない、離婚の条件について全く話を聞いてもらえないと感じた場合には、相手のペースで話し合いを進めるのではなく、一度専門家に相談をすべきです。
こちらに非がある場合
こちらが不貞をしてしまったり、ほかに好きな人ができてしまったケースで、「正直に相手に伝えた方がいいですか」と聞かれることが良くあります。正直に伝えることで、気持ちが無くなったと理解してもらい、スムーズに離婚が成立するというドラマチックな展開を期待したくなりますが、現実はなかなかそうはなりません。正直に伝えることによって離婚の合意は得られたとしても、財産分与や養育費など離婚の条件の話し合いが硬直化してしまう恐れがあるため、正直に伝えるのは、できる限りさけたほうがよいと考えます。
離婚を切り出す前の準備こそが重要
自分の気持ちを知る
まず、本当に離婚したいのか、離婚に踏み切っていいのか、ご自身の気持ちを整理する必要があります。思いつくままのメモ書きでもよいので、必ず文字に起こして「見える化」をすべきです。
①離婚したいと考えた出来事は何か
②自分自身が受け止め、受け入れることができないか
③夫婦の話し合いなどで改善できないか
④一時的な別居など離婚以外方法で解決できないか
離婚で後悔しないためにも、まず漠然と離婚を考えるのではなく、必ず文字に起こして「見える化」をすべきです。「見える化」することで、より自分の気持ちを知り、整理することができるはずです。
離婚後の生活を考える
離婚後の生活にかかるお金のことを事前に検討しておくことも重要です。慰謝料や財産分与、離婚までの婚姻費用や離婚後の養育費、さらには年金分割など、離婚の際に検討しなければならないお金の問題はたくさんあります。
人が生活していくうえでお金の問題は避けては通れません。特にお子さんがいる場合にはお金の問題はシビアにのしかかってきます。慰謝料も財産分与も養育費も年金分割も、離婚後に取り決めをすることも可能です(但し、期間制限はあります。)。しかし、離婚してしまった後に話し合いを進めるのは、それだけで大変です。離婚したい!という思いばかりを優先させてしまい、お金のことを後回しにすべきではありません。
証拠集めも重要
財産分与を多くとるには、相手名義の財産をいかに多く把握できるかによります。離婚を切り出してしまった後には、相手に財産を隠されてしまうケースもあり得ます。離婚を切り出す前に、相手名義の財産を把握しておくべきです。
また、不貞やDVが離婚原因の場合には、相手がこれらの原因を否定してくる可能性があります。不貞を知ったからといって、一時の感情で詰め寄ったり、すぐに離婚という結論を出したりせず、離婚を切り出す前に確かな証拠を集めておきましょう。
終わりに
以上のとおり、離婚を切り出すにあたっては、気持ちの整理や事前の準備が重要です。当事務所では、1時間無料の法律相談を実施しております。どうやって離婚を切り出すべきかお悩みの方は、一度当事務所にご相談ください。