Answer
不貞行為の慰謝料だけを純粋に検討しますと、判決においては１００～２００万円の間で認定されることが多いです。
Point
裁判所が、不貞行為の慰謝料を認定する際には、様々な要素を考慮します。考慮される要素としては、大まかには以下の要素を挙げることができます。
①当該夫婦の状況（夫婦それぞれの年齢、婚姻期間の長短、子どもの人数・年齢、学歴や職業、収入等）
②不貞が始まった際の夫婦関係（円満であったか、破綻寸前であったか等）
③不貞が始まった経緯（配偶者と不貞相手どちらから誘ったか、不貞相手と知り合ったきっかけ、誘い方の態様等）
④不貞行為自体の内容（不貞の期間・回数、不貞相手の懐妊の有無等）
⑤不貞が発覚してからの態度（配偶者・不貞相手双方の態度、発覚後の関係継続の有無等）
⑥不貞が与えた夫婦や子どもへの影響（別居・離婚の有無、夫婦関係の悪化について他の原因があったか等）
⑦不貞相手の状況（年齢、配偶者・子どもの有無、学歴・職業、収入等）
確かに、不貞の慰謝料を認定した判決の中には、５００万円や１０００万円といった高額の慰謝料を認定した判決もあります。しかし、５００万円の慰謝料を認めた判決は、結婚時の家具購入費だけでも約４４７万円を費やしていたという経済的に非常に裕福な家庭の事案です。また、１０００万円の慰謝料を認めた判決は、不貞以外にも裁判沙汰にもなるような暴力をふるったり、不貞相手と生活するために勝手に別居し生活費を全く入れなくなったりと、不貞だけに留まらず、不貞以外にも慰謝料を大きく増額させる原因が複数あった事案の判決です。このように、５００万円、１０００万円という高額の慰謝料を認めた判決があるといっても、そのような認定がなされる案件というのは、極めて例外的な事案と言わざるを得ません。
当事務所でも１００件以上の判決を分析・検討しましたが、３００万円を超える慰謝料が認定された事案は、二けたに届くか届かないかといった程度でした。それらの事案も、不貞の期間が数年間継続している事案や、婚姻期間がいずれも１５年以上（長いものでは３０年）と長期間の事案、そのほか、不貞相手との間で複数の子どもを作ってしまった、不貞行為が証拠上明らかであるのに全く認めない、不貞発覚後も不貞関係を継続する、など一般的に考えて不貞の態様が酷いと言えるような例外的な事案ばかりで、一般化できるような事案ではありませんでした。さらに、不貞行為の内容は同じような事案でも、当事者の収入、職業・地位などによっても慰謝料の金額は変動します。特に当事者の収入は大きなウエイトを占めます。
不貞の慰謝料を決める際には様々な事情が考慮されるため、どうしてもケースバイケースと言わざるを得ない側面が強いです。強いて相場を挙げるとすれば、不貞だけをとらえると、やはり１００～２００万円程度ではないかと思われます。
いずれにしても、不貞行為の慰謝料を検討するには、どうしても専門的知識が必要となります。もし不貞行為の慰謝料請求を検討されているならば、慰謝料の相場ではなく、事案に即した具体的な慰謝料額を調べるべきです。不貞行為の慰謝料を知りたいという方は、ぜひ当事務所の無料相談をご利用ください。
