Answer
速やかに家庭裁判所へ離婚調停の申立てをすることをおすすめします。
あまり用いられる方法ではありませんが、親権者と監護権者を分けるという方法も解決方法の一つになり得ます。例えば、離婚後の父親を親権者とし、一方で、実際に子どもと一緒に生活し監護養育する監護権者を、親権者とは別に、母親と定めるといった方法です。
Point
子どもの親権を決める際には、お互いに子どもと一緒に住みたいという感情だけではなく、母親と父親どちらが育てることが、子どものためになるのか、といった観点から、夫婦で十分に協議することが重要です。
しかしながら、具体的に離婚の協議をしている状況では、夫婦の感情的な対立が生じてしまっている場合も多く、夫婦だけの話し合いでは、そもそも冷静な話し合いを期待できない場合が多いといえます。また本来はあってはならないことですが、まずは強硬に親権の取得を主張し、その後親権取得の撤回を条件にすることで、相手方から有利な離婚条件を引き出そうとするなど、有利な離婚条件を引き出すための交渉材料として、親権の取得が主張されてしまう場面も少なからずあります。このような場面で、夫婦だけの協議においては、長引く協議に心が折れてしまい、親権が取得できるのならば、財産分与は要らないなどと考え、財産分与を放棄して離婚を成立させてしまうなどの事態も往々にしてあります。
しかし、家庭裁判所の調停では、調停委員が(場面によっては裁判官も)、夫婦それぞれ別々に、親権を主張する理由や言い分などを聞いてくれます。そのため、相手方と直接協議をする必要がなくなりますので、まずはそのストレスを回避することができます。また、夫婦それぞれの言い分を聞いた調停委員が、夫婦間の協議を取り持ってくれます。場合によっては、離婚訴訟へと進んでしまった場合のある程度の見通しを伝えた上で、夫婦間の調整をしてくれることもあります。
確かに、離婚調停を提起したからといって、必ず協議がまとまるわけではありません。しかしながら、相手方と直接話をしなくてよくなる分、夫婦だけで協議を続けるよりもストレスは確実に少なくなります。ストレスが軽減されることにより、途中で心が折れてしまうことも少なくなるはずです。また、夫婦だけの話し合いよりも、公平な第三者であり、最終的な判断権者である家庭裁判所を介した調停の方が、話し合い自体がまとまる可能性も高くなるといえます。
そのため、当事務所では、親権に争いがある場合など、夫婦だけでは調整が難しいと思われる案件に関しては、家庭裁判所へ離婚調停を申し立てることをおすすめしています。
なお、あまり用いられる方法ではありませんが、親権者とは別に、実際に子どもと一緒に生活をする監護権者を分けて定めることができます。そこで、夫婦の協議において、夫が親権さえ取得できれば妻が子どもと生活してよいと考えているような場合には、この方法をとることが検討できます。つまり、親権者を夫、監護権者を妻と分けて定めることで、親権に関する争いをクリアすることができ、これによって、親権に関する争いを早期に解決できる場合もあり得ます。