配偶者に黙って浜松の自宅を出て一方的に別居を始めることは問題ありませんか。後々、調停や裁判になった時に「悪意の遺棄」(民法770条1項2号)と非難されることはありませんか。

Answer

 民法770条1項2号の「悪意の遺棄」は、単なる一方的な別居では足りず、社会的倫理的非難に値する婚姻共同生活の廃絶を意図していることが必要です。

 別居の合意がなくとも、正当な理由(夫婦の一方のDVや不貞、婚姻関係の破綻)がある場合には一方的に家を出て別居を開始しても問題ありません。

Point

 夫婦は相互に同居義務を負っています(民法752条)。したがって、特段の理由がないにもかかわらず、夫婦の一方が勝手に別居をスタートさせることは許されません。もっとも、夫婦関係が破綻状態にある場合や一方の配偶者に有責性がある場合は、正当な理由が認められますので、別居の話し合いをせずに家を出たとしても同居義務違反になるわけではありません。

 次に、別居を勝手にスタートさせたからといって、直ちに離婚原因である「悪意の遺棄」に該当するわけではありません。法律上の離婚原因は、配偶者が不貞行為をしたことや、配偶者の生死が3年間不明であることなど重大な事情に限られます。「悪意の遺棄」についても同様で重大な事情がある場合に限られます。過去の裁判例においては、別居に至る経緯、別居した目的、別居に同意していない側の生活状況、別居の期間等を総合的に考慮して、別居に正当な理由があるかどうかで判断されているようです。

 ただ、私のこれまでの経験からすると、黙って別居を始めたことによって離婚の話し合いをこじらせているケースが良く見受けられます。離婚を検討しているような状況においては、相手方と話し合いをすること自体が難しいことも理解できますが、出来ることなら話し合った上で別居を始めたいものです。

 

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